微生物代謝産物の系統的分画と単離
放線菌や糸状菌などの微生物は多様な生物活性や化学構造を有する代謝産物を作り出すことで知られている。これら活性化合物はバイオプローブと呼ばれ、ケミカルバイオロジー研究には必須の化合物群である。しかし、これらの化合物群はその存在量が微量であるため、効率的に単離・精製を行うためには分画・分析技術の確立が必要である。そこで我々は微生物の代謝産物を系統的に分画する方法を検討し、さらにこれら分画物をLC/MS分析することにより代謝産物プロファイルのデータベース化を行っている。
これにより効率的な代謝産物の分画・精製だけでなく、既知物質の排除や迅速な活性物質の同定、また有用活性物質やその類縁体の単離・同定が可能となる。さらに、このようにして分画を行ったものをLC/MS解析データ付きのフラクションライブラリーとして、化合物アレイなどのハイスループットスクリーニングに供することで新しい活性を持った化合物の効率的な探索を行っている。





化学遺伝学 において、目的タンパク質の機能を調節するバイオプロー ブをハイスループットに探索する技術はとても重要であり、小分子バイオプローブの同定は、そのタンパク質の機能解析を可能にすると同時に、薬の開発にもつながっていく。 我々は、バイオプローブの超ハイスループット探索法として化合物アレイ「NPDepoArray」を開発した。 化合物アレイは、1枚のスライドガラスに、2-3千種の小分子化合物が光親和型固定化法により固定化してあり、目的タンパク質が結合する化合物をアレイ上で解析することが可能である。
これまでに、1万5千化合物をアレイ化しており、現在も新たに化合物バンクに収蔵された化合物についてアレイ化を進めている。 我々は、開発した化合物アレイを用いて、疾患関連タンパク質のバイオプローブの大規模探索を進めている。






