ケミカルバイオロジー研究グループ(終了)
大腸菌を用いたp38MAPキナーゼ阻害剤のスクリーニング
概要
p38は、種々の細胞外ストレスや炎症性サイトカインなどに応答して、様々な細胞機能を制御している重要なシグナル伝達分子である。ノックアウトマウスや阻害剤を用いた解析から、様々な病態への関与が報告されている。我々は、増殖が著しく遅延する薬剤誘導性のHis-p38発現ベクター形質転換大腸菌の増殖遅延解除を指標とするp38活性制御薬剤探索系を構築し、実際に阻害剤を見出している。この探索系(Bac. to the Future)では、増殖回復を指標とするため微生物を用いた探索系でしばしば問題となる増殖阻害を引き起こす抗生物質を排除できる大きな特徴がある。さらに、探索の効率化のために(株)サイニクスと共同で開発したスクリーニング用プレートリーダー“HiTS”を用いることにより、従来のペーパーディスク法に比べて、1/100~1/1000のサンプル量で評価できることも、もうひとつの大きな利点である。
Bacterial growth rescue by p38 kinase inhibitor p38発現ベクターを形質転換した大腸菌BL-21株の増殖抑制は、p38キナーゼ阻害剤により濃度依存的に解除される。そこで、この現象を利用して、p38MAPキナーゼ阻害剤スクリーニング系を構築した。 |
Optimizing inhibitor screening method スクリーニング系最適化のために共同研究により開発し、製品化したインキュベーションプレートリーダー“HiTS”(左)とスクリーニング結果の一例(右) |
References:
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K. Kawai, A. Saito, T. Sudo, H. Osada.
A p38 mitogen-activated kinase inhibitor screening method using growth recovery of Escherichia coli as an index.
Anal. Biochem., 388, 128-133 (2009).